何か届いた。

えー、経緯を話しますと、今度コニャック/アルマニャックのオンラインテイスティング会をやらせていただけることになったわけなんです。

この投稿の一つ前に投稿してるやつですね。

https://drinkers-lounge.com/2021/07/31/kyoto-fine-wine-and-spirits-shinanoya-brandy-event/?amp

内容としましては、Kyoto Fine Wine & Sprits(KFW&S)さんと信濃屋さんとのコラボ企画で、素晴らしいコニャックやアルマニャックをテイスティングキットを購入してくださった皆さんと一緒に楽しもうというものです。

8/12の20:00からWhisky FeelsのYouTubeで配信されます。テイスティングキットを買わなくても誰でも視聴できちゃいます。

前回も写真のメンバーでテイスティング会をやったんですが、それを見たKFW&Sさんがありがたいことに面白いと思ってくれたようで、あらためてテイスティング会を開くことができることになったというわけです。

前回のテイスティング会はTwitterとFacebookだけの告知になってしまい、ブログ媒体を持っているにも関わらずブログ記事として残していなかったのは痛恨の極みですよね。

そんな前回は、信濃屋の担当ふまるくんから

「ドリラジさんにはビックリしてもらいたいんで、一切の先入観のない状態でテイスティングしてほしいんです!」

と、意味がわかるようで全くわからない説得を受けまして、何故か僕だけ紹介する製品のテイスティングができないという状態(直前でなんとか先行販売予定のボトルだけテイスティングできた)だったので、今回は事前にきちんと味わいを確かめたいし、それを踏まえて打ち合わせもしたほうがいいからと、サンプルをお願いしたんですよ。

で、届いたのが冒頭の写真のあれ。

何でブラインドなのかな?

事前テイスティングとか、それを踏まえた打ち合わせの意味を、知っているのかな?

しかも量が少なく見えるのは実際に量が少ないからで、「ブラインドで満足してほしくなくて10mlにしました!」とのこと。

どうやらあいつはやる気満々のようです。


というわけで、超久々にブラインドテイスティング

僕としましても「いつ何時、誰の挑戦でも受ける」をモットーに、怪我をしない体作りを目指して日々テイスティングを繰り返してるといっても過言ではないので、こういう挑戦は正面からしっかりと受けたいと思いますね。

キレてないですよ?俺をキレさせたら大したもんですよ。

というわけで今回はコニャック/アルマニャックというブランデー領域にはなりますが、超久々にブラインドテイスティングです。

とはいっても、中身自体は長熟のコニャックかアルマニャックであることは公開されていて、ボトルスペックもある程度は分かっています。

ただ、送られてきたサンプルが本当に今回のオンラインテイスティング会のものかは最早わからないため、何もないものとしてテイスティングをしたいと思います(笑)

そんなわけで全てのテイスティングしたわけですが、今回のサンプル、どれもめっちゃ美味いです。

ただ書きながら思いましたが、ウイスキーよりも経験値の少ないブランデーというジャンルでは言葉による香味表現にどうしても幅が出ず、かなり苦戦しました。

実際にテイスティングノートを読んでいただければ分かるのですが、飲みながら自分が感じた細かい香味の弁別を第三者に伝えるということを目的にするにはかなり厳しいテイスティングノートになってしまいました。

私のテイスティングノートのスタイルは「まずは香味全体のアウトライン、それから香味を分解し、隙間を埋めていくように出来るだけ適切な言葉を選びながら細部を埋めていく」というものなのですが、ある程度の量を経験として積まないとアウトラインはともかく様々な香味を言語に置き換えていくのに結構苦労するというのは大きな気付きだったと、個人的に感じています。

そんなわけで、以下、4種類のテイスティングノートです。


「ふまるん」の「ふ」

香り:

しっかりとした香り立ち。フレッシュな果汁の印象が先行する。奥から熟成感が感じられる複雑な葡萄の甘さとふくよかさ、心地良いオーク。時間経過でクリーミーな印象が現れる。

味わい:

飲むと濃厚な香り同様に葡萄果汁を思わせる力強い甘さが先行し、少し遅れて弱いオークの収斂、時間経過でじわじわと古酒を思わせる複雑さが立ち現れてくる。

余韻:

余韻の長さは中程度で、果実感から徐々に古酒の熟成感へと移行していく。


「ふまるん」の「ま」

香り:

重い果実香と微かなランシオ。凝縮した干し葡萄、葡萄畑の土っぽさ、ややしっかりとしたウッディネス、僅かにキノコのニュアンス。時間経過で果実香に少しずつフレッシュな印象と甘酸っぱさ、花のようなフローラルさが加わる。

味わい:

口当たりは比較的優しい。香りの印象を損なわない、複雑で重い果実香。レーズンの甘味と旨味の凝縮。時間経過で香り同様にフローラルな印象が加わる。ボディは中程度からやや軽め。

余韻:

長い余韻。干し葡萄の凝縮感が少しずつ解け、香りの終わりに感じられたフレッシュな葡萄の果汁感が少しずつ現れてくる。時間経過で少し甘酸っぱい印象。


「ふまるん」の「る」

香り:

穏やかな香りたちだが複雑。凝縮された葡萄の果実香が主体だが、比較的解きやすい。果汁、黒土、溌剌とした熟成感、プラムを思わせる甘味と酸味。時間経過で甘酸っぱい印象が少しずつ丸みを帯び、果実香にフレッシュな印象が増してくる。

味わい:

口当たりは力強く、しっかりとした収斂を伴う。甘味と酸味。干し葡萄、プラム、リコリス、程良いウッディネス、スパイス。ボディは中程度で、そのまま余韻へと移行する。

余韻:

甘味の中に味わいから酸味とスパイシーさを引き継ぐ。余韻は長め。時間経過で酸味が甘味に徐々に溶け合い、葡萄の果実香にふくよかな印象が増す。オーク由来のスパイシーさと収斂は持続する。


「ふまるん」の「ん」

香り:

非常にふくよかで丸みがあり、かつ複雑な果実香。瑞々しさを保つ干し葡萄、陽の光に当たった葡萄畑、掘り返した土、葡萄の皮と茎、遅れて重たいウッディネス、時間経過でやや汗に似た香りも。

味わい:

口当たりにも飲んだ後にも干し葡萄の凝縮した甘味と旨味が非常に強く、複雑な印象は香りから変わらない。飲むとややスパイス感。ボディは厚い。

余韻:

長い余韻。味わいの要素を引き継ぎ甘味とスパイス更に弱いミントのニュアンスも。