グレンキース 1995 – 2019、23年 53.4% モルトヤマ富嶽三十六景

時間をかけるほどに様々な要素が香る鉄板スペイサイダー。

GLEN KEITH 1995-2019, 23Y. 53.4%

Fugaku-Sanjuroku-Kei (36 seeing of Mt. Fuji)

bottled for Maltoyama

bourbon hogshead


評価:★★★ Recommend!

CP:☆☆☆

価格:★★


ボトル紹介

目次

モルトヤマのオリジナルシリーズ第4弾

富山にあるシングルモルト専門の酒販店「モルトヤマ」のプライベートボトル「富嶽三十六景」の第四弾。1995年蒸留のグレンキース、バーボンホグスヘッド熟成の23年ものです。

「富嶽三十六景」はモルトヤマのオリジナルシリーズであり、このボトルは最新の第4弾になります。モルトヤマ店主である下野氏が選べるサンプルの中から飲み手に是非飲んでほしいと思った、意味のあるボトルを詰めるシリーズと認識しています。

そんなわけで今回のボトルも楽しみでした。


90年代グレンキースのハウススタイルについて

もともと姉妹蒸留所のストラスアイラとともにブレンデッドウィスキー「シーバスリーガル」の構成原酒であるグレンキースは、オフィシャルボトルがほとんど発売されていない蒸留所です。ちなみにボトラー各社からは比較的リリースがあります。90年代蒸留のグレンキースは「洋梨や林檎を思わせるフルーティーで華やかな香り、軽やかなライトボディ」を持つ典型的な「現代のスペイサイドモルト」といえる味わいが特徴だと思っています。

外さないボトルが多く、マイナーですがシングルモルト愛好家の間では一定以上の評価を得ている蒸留所でもあります。

特にバーボン樽熟成のボトルは、樽由来のバニラやオレンジといった香味成分と原酒のフルーツエステル香との親和性が高く、ハウススタイルも崩さない印象があります。


テイスティング

外しのない完成度。今後の香味の開きも期待できる。

スペイサイドモルトらしさに溢れた、完成度が高く美味しいボトルだと思います。

「バーボンホグスヘッド×熟成期間の長いスペイサイドモルト」という組み合わせを知るにはうってつけのボトルに仕上がっています。「現代的なスペイサイドモルト」という90年代蒸留グレンキースの良い部分も素直に伸ばされている印象です。

洋梨、林檎といった香りが明確で、樽由来の蜂蜜感とオーク香、麦芽の熟成感もしっかりしています。時間をかけるほどに様々な香味がゆっくりと現れてきて、徐々に複雑さが増してきます。

熟成に使われているバーボン樽がバレル(200L)よりサイズの大きいホグスヘッド(250L前後)であることはポイントの一つだと思います。華やかで穏やかな酒質を持つグレンキースの原酒を23年という比較的長い期間熟成しているにも関わらず、樽由来の成分が過剰に抽出されていません。樽種と熟成期間とが非常に上手くマッチしています。

香味要素に富んでおり、ネガティブな印象もない非常にキャッチーなボトルで、誰が飲んでも間違いのない一本だと思います。

現時点でも美味しく、今後の香味の開きにも十分に期待が持てるため、自宅で抱えても最後まで香味の変化を楽しめるだろうと思います。

開けたてのドライさやスパイシーさが気になる場合は、グラスに注いでしばらく待つと良いと思います。経年前提で置いておくのもアリでしょう。

良いボトル詰めたなという印象です。問題なくRecommendです。


このボトルのテイスティングで参考になるのは、池袋ジェイズバーの蓮村氏がコメントしているYoutubeチャンネル「Whisky Feels」の動画でしょう。

氏はこのボトルの要素の複雑さに言及しつつも、林檎や洋梨ではなく蜂蜜感を主体に捉え、こうしたボトルは自分から香味を積極的に探しに行くのではなく一歩引いた視点からテイスティングすることの重要性を説明してくれています。


テイスティングノート

香り:

香り立ちは穏やかに始まり、徐々にしっかりとしてくる。明確な洋梨香、続いて摩り下ろした林檎、穏やかなウッディネス。そこからゆっくりと展開し、蜂蜜、オレンジ、レモン、シリアル。僅かにシナモン、クローブ、バニラ。その奥から熟成感を伴った複雑な麦芽の甘さが現れる。要素は豊富で複雑。

味わい:

度数相当にしっかりとした口当たり。乾いたオークの印象が強くなり、麦芽の熟成感と甘さ、樽由来のバニラ、蜂蜜、オレンジピール。ボディは中程度で、程なく余韻へと移行する。

余韻:

蜂蜜に漬けたレモンの印象。穏やかにドライで、オーク由来のウッディネスが持続する。

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