三郎丸 ニューボーン 2017 – 2019、63% 令和元年若鶴蔵祭り向けシングルカスク#265

ニューボーンの段階でこんなことを言うことの意味はさておき、既に結構美味いです。

SABUROUMARU 2017.09-2019.05, 63% New Born

cask#265

for WAKATSURU KURA Festival The first year of Reiwa.


評価:NR(★★〜★★☆)

CP:NR

価格:NR


ボトル紹介

目次

令和元年記念リリース、三郎丸のニューボーン

今年の6月に世界初の鋳造ポットスチル「ZUMON」を導入したことでも話題となった富山県の三郎丸蒸溜所の2017年9月原酒。2019年5月のボトリングなので熟成期間は1年8ヶ月ということになります。

ウイスキーというお酒の定義は国毎にかなり異なります。日本は中でも特殊(誤解を恐れずに言えばいい加減、何でもアリ、ほぼザル)で、年数規定がありません。そのため、これを「ウイスキー」と名乗っても日本の法律的には問題はないというか、そう名乗らざるを得ません(そのため品目はウイスキーとなっています)。しかし本場スコットランドでは3年以上の熟成期間が明確に義務付けられていて、それを受けて日本国内の多くの蒸留所、特に新興クラフトディスティラリーでは蒸留後に樽熟成3年未満の原酒はこのボトルのように「ニューボーン」と名付けられています。なお、樽熟成を行なっていない蒸留仕立ての原酒は世界共通で「ニューポット」と呼ばれています。


テイスティング

驚くべき出来

前もってお断りしておきますが、このブログではニューポットやニューボーンの段階のシングルモルトを含むウイスキー全般を評価することは意図的に控えていて、今後も特別な場合を除いて同様に控えていくつもりです。理由はいくつかありますが、大きな理由のひとつはニューポットやニューボーンは本場スコットランドにおけるウイスキーの基準を満たしておらず、完成に向けた途上の状態にあるものだと考えられるため、製品としてリリースされたからといって、規定を満たさないものを満たしたものと同列に評価することはフェアではないと考えているからです。

では何故今回のボトルを記事にしたのかというと、今回はその特別な場合に当たると判断したからということになります。もう少し分かりやすく言うと、このボトルが規定を満たした多くのシングルモルトと同じ評価軸で評価可能なレベルにあると判断したからです。そのため基本的な評価はNR(Not Rated)としながらも、付帯する形で評価を付けています。

前置きが長くなりましたが、熟成3年未満の原酒としては驚きの出来だというのが第一印象です。

当然ですが香でも味わいでも原酒の若さは感じられます。しかし強めのピート香と穏やかに付き始めた樽感により、ネガティブな印象は抑えられ、さながら若いアイラモルトのような印象さえあります。また、酒質の骨格がしっかりしているというか、まだ勿論荒いものの思いのほかどっしりとしていて、華やかな要素だけでない少しの雑味が酒質に複雑さを与えていて(津貫蒸留所の草野さんの言葉を借りれば「敢えて少し汚な目に作って」いて)、このまま熟成が進んだ時の味わいには十分期待の持てるものだと思います。

初リリースから数年で、ここまで大きな変化、進化が感じられたことに純粋に驚きました。

今後の動向にも注目していきたいと思うと同時に、一度蒸留所の見学にも行かなくてはならないと強く思いました。


テイスティングノート

香り:

甘く、しっかりとした香り立ち。原酒の若さは勿論あるがネガティブな要素は目立たない。強めのピート、穏やかで甘いウッディとバニラ、ナッツ、やや汗を思わせる印象。

味わい:

度数相当の強烈な口当たり。ドライ。ピーティーでナッティー、原酒の若さは香りより目立つが、ここでも嫌味な要素は少ない。

余韻:

ドライ、僅かにオイリー。


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