グレンダラン 1976 – 1997、20年 46% キングスバリー

樽選びと熟成期間が上手くマッチ。素朴な麦芽感。

GLENDULLAN 1976-1997, 20Y. 46%

KINGSBURY’S


評価:★★★

CP:NR

価格:NR


ボトル紹介

目次

キングスバリーのオールドボトル。現行ラインナップでは「SILVER」に相当。

日本でだけボトルを販売するスコットランドのボトラー「キングスバリー社」から、1976年蒸留のグレンダランです。

グレンダランは主にブレンデッドウイスキー「オールドパー」の構成原酒用に製造されており、蒸留所の規模に反してシングルモルトとしてはマイナーな銘柄です。現在はオフィシャルボトルとして「シングルトン・オブ・グレンダラン」(米国向け)が発売されているため入手はしやすいですが、それまでのオフィシャルリリースはUD時代の花と動物シリーズなどを含めて散発的なリリースがあるのみで、ボトラーリリースもそれほど多くありませんでした。ブレンデッド用のスペイサイドモルトにしては内陸系ピート(仄かにスモーキーで土っぽい印象)が効いた味わいが特徴だと認識しています。

このボトルは1997年の瓶詰め。今から20年以上も前になるため、とりあえずオールドボトルという範疇で良いでしょう。シングルカスクですが46%加水ボトルで、現行のシグナトリー社のラインナップでは「SILVER」に相当します。

このボトルはその昔地方の酒屋さんで入手しました。抜栓当時コルクは死んでいたので、別のものに変えてあります。


テイスティング

素朴な麦芽感。程良い熟成感と溌剌さの両方を素直に楽しむことができる

先日ダルユーイン 1980 – 201533 54.1% SMWS 41.63 “Teasing and pleasing”をテイスティングして、「穏やかな樽感の中にある麦芽の熟成感を純粋に楽しめるボトル」と紹介しましたが、麦芽感を楽しむという意味では、このグレンダランも似た系統と言えるかも知れません。

両者を比較するならば「熟成感」を楽しむのであれば圧倒的にダルユーインですが、より素朴で素直な麦芽感を楽しみたいのであればこのグレンダランに軍配が上がるかも知れません。

正確な表記はありませんが、このグレンダランも樽種はおそらくSMWS41.63ダルユーインと同じくリフィルバーボンホグスヘッドだと思われます。

環境要因を無視すれば、原酒への樽からの影響は熟成期間の長くなると強くなります。41.63は33年熟成、このグレンダランは20年熟成。両者を比較すると、樽感はグレンダランのほうが明らかにプレーンで、原酒への影響はほとんど感じられません。ちなみにこれには41.63がカスクストレングス、このグレンダランが加水ボトルであることも影響していると思います。

そして、熟成年数が33年にも及ぶ41.63の麦芽感は熟成感が圧倒的ですが、このグレンダランは20年熟成と中熟域の原酒であるため、熟成感をまといながらも、溌剌とした麦芽の旨味もまだしっかりと残っています。

樽選びと熟成年数のどちらもが、素朴な麦芽感を素直に引き立てるように作用していると考えられるわけです。

加水ボトルであるため、ボディはどうしても軽めで香り立ちも穏やかですが、十分に美味しいボトルだと評価できると思います。ピートもしっかり残ってますし。


テイスティングノート

香り:

穏やかな香り立ち。熟成年数を素直に思わせるような、熟成感と溌剌さのどちらも備えた麦芽の複雑さと甘さ。そこに燻した草や土っぽさを思わせる穏やかな内陸系ピートが添えるように置かれている。樽感はほとんどプレーンで、樽由来のウッディネスを仄かに感じる程度。

味わい:

口当たりは度数相当で、加水を思わせる滑らかさ。口に含むと暖かい印象。麦芽の旨味が強くなり、内陸系ピートとしっかりと絡み合う。ボディは中程度かやや軽く、程なく余韻へと移行する。

余韻:

麦芽の甘みを引き継ぎ、籾殻、穏やかなウッディネス。余韻の長さは中程度で、生姜を思わせる弱いスパイス感とドライさがじんわりと残る。


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