トマーティン 1976 – 2010, 34年 51.1% TWA + 3R アートワーク

少しヒネてしまったが、十分に美味しい。

TOMATIN 1976-2010, 34Y. 51.1%

The Whisky Agency + Three Rivers

Art Work

Sherry Butt

669 bottles.


評価:★★★☆

CP:NR

価格:NR


ボトル紹介

目次

トマーティンのBIG VINTAGE、1976年蒸留。

ワインと同様に、ウイスキーにもヴィンテージの概念が存在します。

1976年は、シングルモルトの蒸留年として既に多くの飲み手に記憶されていて、今後も記憶されていくヴィンテージでしょう。

特にトマーティンとベンリアックの1976年蒸留のボトルは、シングルモルトの歴史に確実にその名を刻むだろうと思います。

そんな「非常に出来の良い」ヴィンテージである1976年蒸留のトマーティンから、ドイツのボトラーThe Whisky Agency(TWA)と日本のボトラーThree Rivers(3R、TR)のジョイントボトルとしてシリーズ化された「アートワーク」シリーズから発売されたボトルが、今回紹介するボトルです。

1976年蒸留のトマーティンはリリース当時から盛大にもてはやされ、その後のリリースを鑑みても「あれはトマーティン史上における一発逆転満塁ホームランだったのではないか」とまで言われているヴィンテージです。

現在まで続く流行となっている「トロピカル香」を、60年代ボウモア以降初めて世に知らしめたのは1976年蒸留のトマーティンでした。

勿論というか世界的にも大流行し、結果として1976年蒸留のボトルはしばらくの間数多くリリースされました。現在はどのボトルもオークション市場で高額で取引されています。


テイスティング

状態差を考慮しても美味しい。

おそらくこのボトルは、1976年蒸留のトマーティン史上最高のボトルではありません。

しかも残念ながらこのボトルはちょっとヒネてしまっており、おそらく全盛期の香味ではないと思います。

しかし、それにも関わらず、依然としてこのボトルはとても美味しいボトルです。

シェリーカスク由来のベリーやジャムっぽい樽感と共にヒネ香が感じられ、個体差と割り切っても少し残念ではあります。しかし奥から上がってくる古酒感、ケミカルな印象のある桃感、フルーツ香に寄りまくった熟成感の渾然一体とした香味は、欠点を補って余りあると思います。

少なくともトロピカル好きなウイスキードリンカーには間違いなく「刺さる」シングルモルトだと思います。


テイスティングノート

香り:

しっかりとした香り立ち。ややヒネ香。それだけが残念。しかし、そこからレーズン、バルサミコソース、そしてケミカルな印象のある桃。そこから更に同様に桃。更にほんのりとすえた内陸ピート。少しだけアルコールの揮発香。総じて熟成感と古酒感があり、渾然一体としている。サルファリーを取る人がいるかも知れないが、気にする必要は全くないと思う。フルーツ香を主体とした甘みを紐解くのは難しく、砂糖をまぶしたフルーツバスケットの印象。無理をして紐解くなら、アプリコット、和三盆、ライチ…。後は各自が好きなように取ればいいと思う。取れると思うので。

味わい:

度数相当だが、樽由来と原酒由来のフルーツ香が強いため、そこにあまり気が回らない。樽感はやや強く、タンニンとその収斂を感じるが、直後に桃とアプリコット、麦芽の熟成感を思わせる甘いフルーツ香が口の中に広がる。樽感に支えられたボディは厚く、飲み応えもしっかりとしている。

余韻:

再びレーズンと、チャーした(焦がしたという意味)樽材由来のバニラを思わせる甘さ。じんわりとドライ、じんわりとスパイシー。ケミカルな桃。

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