ブローラ 1981 – 2008, 27年 53.8% ダンカンテイラー レアオールド・コレクション

渾然一体とした素晴らしい熟成香。独特のオイリーさ。

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Brora 11.1981-11.2008, 27Y. 53.8% Duncan Taylor Rare Auld Collection. cask#1427, 349bottles.


評価:★ ★ ★ ★

CP:NR

価格:NR


香り:

しっかりとした香り立ち。濃密で強い麦芽の熟成感と、燻製ナッツを思わせるライトピートが乗った複雑なフルーツ香。熟したアプリコット、林檎、アップルパイ。奥からほんのりと麦芽のクリームとオイリーなニュアンス、マカダミアナッツ。

味わい:

度数相当にしっかりとした口当たりで、最初はドライ、しかし直ぐに熟成感に裏打ちされた渾然一体とした甘みと旨みが炸裂する。ただしボディは中程度。割と直ぐに余韻へと移行する。

余韻:

ドライで乾いたウッディネスがじんわりと長く続く。麦芽の旨味が持続し、ややオイリーな口残り。


閉鎖蒸溜所のシングルモルトの中でも、ポートエレンと並んで絶大な人気を誇るのが、今回ご紹介するブローラ蒸溜所のシングルモルトです。

今回のボトルはボトラーのダンカンテイラー社が2008年にボトリングした1981年蒸溜のブローラで、Rare Auldと名付けられていたシリーズからの一本です。このシリーズはラベルの変遷があり、更に前にはPeerlessと名付けられていたようで、その頃の名残から多くの飲み手の間ではレアオールドもピアレスと呼ばれることが多く、ピアレスでほとんど通じます。現在は更に名前が変わり、dimensionsシリーズとして発売されています。

ブローラ蒸溜所のことをざっくりと説明すると、ブローラ蒸溜所のそもそもの創業年は1819年で、元はクライヌリッシュ蒸溜所と呼ばれていたこと、1967年に新クライヌリッシュ蒸溜所(現在のクライヌリッシュ蒸溜所)が新たに建設されたことを機に、それまであった旧クライヌリッシュ蒸溜所がブローラ蒸溜所と改名されたこと(つまり、もし1967年以前蒸溜のクライヌリッシュを見つけたら、その中身はブローラだということになります)、ブローラの名前で旧クライヌリッシュ蒸溜所が稼働していた期間は僅か14年間で1983年には閉鎖されたこと、というあたりでしょうか。加えて最近の話題として忘れてはならないのは、オーナー企業であるディアジオ社が34年ぶりにブローラ蒸溜所とポートエレン蒸溜所を復活させると発表したことです。これはウイスキー業界としては世界的な大ニュースになりました。

そんなブローラは、今やポートエレンと並んで1本10万円以上はくだらない、超高額で高嶺の花の代名詞でもあるようなシングルモルトとなっていますが、少し前の持ち寄り会に参加した際、ワンショット分だけ残っていたものを所有者の御好意でボトルと共にいただくことが出来たのです。本当に有難いですよ…。当時は今ほど高くはなかったとのことです。閉鎖蒸溜所あるあるですね…。


ベテランドリンカー曰く、ブローラは70年代が白眉だそうです。しかし閉鎖前年に蒸溜された今回のボトルも、素晴らしい熟成感とライトなピート香が渾然一体とした、間違いなく美味しいボトルだと思います。やや軽めのボディ(これはもしかしたら残量的な問題もあるかも知れません)と後半のドライさを差し引いてもです。

ピート香はさほど強くは感じませんでした。香りと余韻で感じられたオイリーさは、個人的には同年代頃のクライヌリッシュを想起させるものです。

とやかく評価するのもおこがましいくらい貴重なボトル、今回は経験値として有り難く頂戴いたしました。ありがとうございます!

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