ベンネヴィス 1995-2014 18年 55% クーパーズチョイス

ヴァリンチを思わせる荒々しく濃密な香味。

BEN NEVIS 1995-2014 18Y. 55% Coopers Choice

評価:★ ★ ☆ – ★ ★ ★ Recommend!

CP:☆ ☆ ☆

価格:¥

 

香り:力強い香り立ちで、まるでヴァリンチ(ボトリング前の蒸留所内の樽から直接汲み出して提供されるウイスキー)のよう。力強さと複雑さ、荒々しさが同居する。麦芽の甘さとシェリーカスク由来のレーズン。僅かにサルファリーな要素。麦芽香はクリーミーで僅かにオイリー、そこにオレンジや蜜柑のような柑橘香が合わさり、オレンジクリームやオレンジオイルのような印象がある。少し時間が経つと甘みの強い林檎。僅かにフェインティな要素もあり、その中からは泥臭さや土を被った根菜のような香味も。

味わい:度数相当のしっかりとした口当たりで、どっしりと重い。クリーミーな麦芽感と柑橘がオイリーさを伴いながら、口の中をコーティングするように広がる。オイリーさと太い麦芽感がボディの厚さに寄与している。僅かにミント。濃密。

余韻:口当たりを引き継ぎ、オイリーさは最後まで口の中に残る。

ボトラーのヴィンテージモルト社から発売されたクーパーズチョイス・シリーズのベンネヴィス。シェリーバット熟成(おそらくですがリフィル)で2014年に発売、ラベル変更2年前のボトルです。同シリーズは46%の加水ボトルが多い中、このボトルは珍しく55%のカスクストレングスでボトリングされています。加えて、近年では1996年蒸留のものがボトラー各社から発売されることの多かったベンネヴィスにあって、1995年という蒸留年も珍しいポイントかも知れません。私はこのボトル以外で1995年蒸留のベンネヴィスを飲んだことがなかったのですが、whiskybase.comを検索すると、2009年から2016年辺りにかけて主に英国とヨーロッパを中心に同一ヴィンテージのベンネヴィスは細々とリリースされているようです。

このボトルに関してですが、まず驚くのはヴァリンチかと思わせるほどの荒々しく濃密な香りと口当たりです。ノンチルフィルタードのウイスキー自体は珍しくありませんが、ここまでヴァリンチ感を持つボトルには今まであまり巡り合っていませんでした。香味自体は決して雑味の削ぎ落とされた端正なものとは言えません。しかし荒々しさと力強さ、複雑さがせめぎ合うように同居しているところは、なかなかに面白い特徴の一つだと思います。蒸留年が近いせいか、味わいの方向性は1996年蒸留のベンネヴィスと総じて似たところがありますが、比較してみるとよりクリーミーでオレンジオイルを思わせる香味が強く、オイリーな口当たりも相まって、やや粗くはあるものの非常にボディが厚い印象があります。

ただしこのオイリーさにやや過剰な印象があるため、この部分を雑味や欠点として捉えることは出来ると思います。しかしこれがなければおそらくこのボトルの濃密な香味は実現しなかったのではないかとも思われるため、私の中では面白いボトルの一つとして記憶に残っているウイスキーです。

実のところ、私はこのボトルにある、削ぎ落とし切れていないある種の雑味の生み出す汚さというか荒々しさが香味全体のバランスに加えているアクセントが結構好きなのですが、この部分は万人受けはしないだろうとも思います。ですがBARなどで見つけた際には飲んでみてほしいと思うボトルです。

2017年のゴールデンウィーク前、せっかくなので自宅のボトルを抜栓してみた次第でした。

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